日本ではもめ事を起こした人について、その背景は見ずにそれだけで厄介者というレッテルが張られる風潮があります。
そのため「自分さえ我慢しておけば」と思うことが一時的に楽になってしまいますが、言いたいことを言わないでいるといずれ不満が爆発してしまい、その爆発はもめ事どころではなくなってしまうこともあります。
ですので、自分の不利益が予想される場合は言い換えすべきです。
そうしないと、相手はさらに攻撃をエスカレートして自分の都合のいいように物事を進めていきます。
そして、組織の中でも一目置かれている人は、上手に言い返しているはずです。
ポイントは「上手に言い返す」ということです。
今回は、自分の意見を「上手に言い返す」言葉の運用術についてお話ししていきます。
相手の意見に負けずに自分の意見を通すことができれば、相手の言いなりにならずに自分の意見も我慢せずに発言し、自分の優位性も上がってくるはずです。
論破する対象は人ではない
日本では「喧嘩はダメ」という文化ですので、殴り合いはもちろん口論になったときの対処法も訓練されていない人が多いです。そのため、反論されるとそれ以上言葉が出てこなくなってしまうのです。
「論破する」という表現があります。
これは「誰々を論破する」というように、人を論破することが目的になっていることが多いように思えます。
ネットなどでは、「論破する」目的は相手を黙らせること否定することということが多く、ともするとケンカになってしまっています。
しかし、「論破する」ことの対象は本当に人なのでしょうか。
「論破する」の目的を人ではなく議論の対象にしてみたらどうでしょうか。ある問題点や疑問点を「論破する」という使い方が本来の使い方なのではないでしょうか。
「論破」なので、「主論を破る」ではないのでしょうか。
それであれば、人を攻撃するのではなく主題を攻撃するわけですから、反論されても臆することなくなり、議論はより活発になります。
人を論破してもその人の意見はおそらく変わりませんから、人を論破すること自体に意味がなくなってしまいます。
議論や交渉の場では、「自分はこうしたい!」という明確なゴールがあるはずですから、相手を叩きのめすことよりも本当にしてほしいことをしてもらうことが論破ということになるはずです。
論破する対象を人ではなく問題点や疑問点にすることが建設的な議論をするコツです。
自分の意見を通す戦略的な返し方
それでは、何かを言われてカチンとなったときの戦略的な返答方法をみていきます。
やはり気を付けるべきなのは言葉選びです。
気持ちでキレても、相手との関係性を崩さずなおかつ自分を守る言葉を選ばなければなりません。同じ言葉でも戦略的に使うのと、感情のままに使うのでは結果は全く異なります。
感情をコントロールして、言葉もコントロールしていくことが必要です。
面倒な人だと思わせる
相手に、自分は攻撃すると面倒だと思わせることが良いでしょう。
例えば上司に罵られたりしたときには
パワハラ問題になりやすいこのご時世にそこまで言いますか?
など、シンプルに相手の真意を正すようにして自分の不快を伝えていきましょう。
女性でセクハラが疑われる場合には、
私が男性でも同じことをおっしゃいますか?
上司が部下にそういうことをおっしゃるということはコンプライアンス的にいかがでしょうか
とさらりと後ろめたさを感じさせる言い回しもあります。
「私はちゃんと言い返します」「私を痛めつけるのは簡単なことではありませんよ」ということを示せば相手からは面倒なやつだと思われるようになります。面倒なやつだと思わせることができれば次からは同じような扱いは受けることはないでしょう。
たしかに初めは勇気がいることではあります。
ただ、自分は悪くないのにも関わらず不当な扱いを受けているということを相手に示すことで、自分自身の満足度も高くなりますし、もやもやした気持ちから解放されます。
「自分を攻撃すると面倒になる」と思わせることが大切です。
ユーモアで本質を伝える
気持ちに余裕があればユーモアで本質を伝えることも効果的です。
ムカッとしたときに2倍3倍の反撃をしてしまうと、相手を追い詰めすぎてしまうこともあります。相手にも自分にも考える余裕を会話のなかにつくる必要があります。
反撃はユーモアを交えて、相手も思わずクスっとしてしまうような一言が返せればお互い良い方向にいきます。
先輩が「やっぱりゆとりだな、何の苦労もしてない」などと言われたとき、
出ました!困ったときのゆとり発言!ゆとり相手に向きにならないでくださいよ~
彼氏がいないことをからかわれたとき、
「彼氏いないなんて負け組じゃん!俺が付き合ってやろーか!」と言われたとき、
あんたと付き合って何に勝てるのー?
こういったことをサラッと笑いながら言うことができたらいいですよね。
本質をユーモアを持って指摘することで、周りが笑ってくれたらあなたの勝ちです。
自分の気持ちを伝える
相手の強い態度で何も言えなくなってしまう「受け身型」や感情的になってしまう「攻撃型」、これでは解決しません。
自分の気持ちを正直に伝えることで、相手も自分も大切に扱うことができます。
そして、意見がぶつかってしまってもすぐに自分の意見を曲げることなく、かつ相手に自分の意見を強制することもありません。お互いに意見を出し合って、お互いが納得いく結論を出そうとすることができます。
自分の気持ちを伝えるときのコツは、「私は」を主語にすることです。
「私は●●と思う」と伝えることで、自分の感情を素直に表現でき、相手を責めているわけではないという姿勢となるので、強い反撃を受けることを避けることができます。
例えば、「なんでこんなことをしたの?」と言われたときに「あなたもあんなことしたよね!?」と返すとケンカになってしまいます。
そこで、
私はこんなことをされて辛い、もうしないでほしい
という表現にします。
「私は~」とすると相手の受け取り方も変わりますし「もうしないでほしい」という目的も伝えることができます。
自分も我慢せず、相手も責めず、自分の主張を伝えることができます。
「私は●●と思う」と「私は」を主語にして自分の気持ちを伝えることで良い関係を継続したまま自分の主張を伝えることができます。
言い返しフレーズのストックを作っておく
これまで、いくつかの切り返し方をご紹介してきましたが、実際にその場になってみると咄嗟には出てきませんよね。
言い返すことに慣れてない人は、できるだけ「言い返しのフレーズ」をストックしておきましょう。
ある程度誰に何を言われるかは想定できるはずなので、それを想像して言い返しのフレーズを事前に用意しておけば、なにかあってもすぐに返すことができるようになります。
この言い返しフレーズをストックしておくことが一番の実践向きかもしれません。そして言い返しに慣れてきたらその他の方法も徐々に実践していきましょう。
理不尽な攻撃をかわしつつ、チクリと軽く反撃をする言葉をたくさん用意しておきましょう。
それにはやはり勉強や練習が必要ですが、それは自分のスキルにもなります。そうして身に付けた対人コミュニケーションスキルはあなたがこれからの時代を生き抜き貴重なリソースに必ずなっていきます。
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