「もしも徳川家康が総理大臣になったら」著者：眞邊明人

今回は、おススメのビジネス小説をご紹介します。

「もしも徳川家康が総理大臣になったら」です。

なんと！徳川家康をはじめとした歴史上の偉人がAIで復活し、現代の新型コロナが蔓延した日本の改革を行う、という内容です。

「もしも徳川家康が総理大臣になったら」あらすじ

私が惹かれたのは、タイトル一発で理解できる内容、斬新な設定、舞台がまさに今の新型コロナが蔓延している日本ということです。

本当に今の日本の総理大臣が徳川家康だったらどんなことが起こるんだろう、というワクワクが止まらずに本屋さんへ走りました！

登場人物

主要な登場人物は以下です。

• 総理大臣　徳川家康
• 官房長官　坂本龍馬
• 経済産業大臣　織田信長
• 財務大臣　豊臣秀吉

歴史上の偉人のオールスターであり、これだけでもうワクワクしますよね！

あらすじ

あらすじは以下です。

２０２０年。
新型コロナの初期対応を誤った日本の首相官邸でクラスターが発生。
あろうことか総理が感染し、死亡する。
国民は政府を何も信頼しなくなり、日本はかつてないほどの混乱の極みに陥った。
そこで政府はかねてから画策していたＡＩとホログラムにより偉人たちを復活させ最強内閣をつくる計画を実行する。

ＡＩにより総理大臣に選ばれたのは、江戸幕府の創始者である徳川家康。経済産業大臣には織田信長、財務大臣に豊臣秀吉、厚生労働大臣に徳川綱吉、法務大臣に北条政子、外務大臣に足利義満など錚々そうそうたるメンバーの中で、皮肉にも総理大臣の補佐役である官房長官に選ばれたのは、江戸幕府を終わらせた男・坂本龍馬だった。

時代を超えたオールスターは未曾有の危機にどう立ち向かうのか！？そして、ミッションを果たした先に待ち受けていたものとは……！？

ビジネス、歴史、政治、ミステリー、あらゆるジャンルと時代の垣根を超えた教養溢れる新感覚エンターテインメント！！

二部構成になっています

二部構成となっており、第一部は、上記のあらすじで紹介した、徳川家康をはじめとした歴史上の偉人が新型コロナに侵された日本を立て直すまで。

第二部は、AIで復活した偉人の謎に迫ります。

偉人たちの施策

それでは少しだけ偉人たちが行った施策を紹介します。

これでもかなりのボリュームですが、第一部の三分の一くらいの内容です。

徳川家康の日本ロックダウン

総理大臣になった徳川家康が初めに行ったことは、ロックダウンです。緊急事態宣言を発令し、許可なき国民を一ヶ月間外出禁止にします。

通常このような重要な施策は数日の猶予がありますが、開始は「今夜から」と即日です。

命に関わることや買い出しなどは別ですが、その他のことは我慢してもらうように伝えます。

そして、全国の警察を出動させ、繁華街を中心に徹底した見回りを強化、特に新宿・六本木・池袋などの歓楽街には「新撰組」を特別任務担当として配置して、違法に店を開けている者はその場で検挙しました。

ただ、それだと一ヶ月間の生活は成り立たなくなる人もいるでしょうから、財務大臣の豊臣秀吉が次なる施策を生み出すのです。

豊臣秀吉の全国民に50万円を支給

龍馬と秀吉は記者会見を行います。

そしてその場で財務大臣である秀吉は国民全員に一律50万円を支給することを宣言します。

しかも、10日以内に。

さらに、どうやってやるのかを聞かれたときの返答はなんと「知らん」。

「そればわしの仕事ではにゃー。それをやるのは（石田）三成じゃ」

「ええか。龍馬。将たるものの仕事は決めることじゃ。決めたことはなにがあってもやる。そういう将の下には、それを成し遂げる者が集まるのじゃ。あとは将はその者たちを信じて任せる。」

こう言って、副財務大臣である石田三成に全て丸投げしてしまうのです。

その後三成は以下動きをします。

1. 既に口座がわかっている者の振り込み
2. 振り込み口座がわからない者に口座を申請させ、振り込み
3. それでも振り込めなかった者への給付

「よいか！！正しさなどは後回しじゃ！」「不正あれば、あとから正せばよい！」と言いながら。

リーダーとは決めること。

部下を信じて任せる。

目的の遂行を第一に考え、それ以外は後回しする。

こういったリーダー像や、目標完遂の動きは現代でも通じるものです。

織田信長の企業への交渉

全国民へ一律50万の支給ができたとして、その財源はどこから出てくるのでしょうか。

それ以外にもこれからの政策にはお金が必要です。

これは経済産業大臣の織田信長の仕事でした。信長は、国債としてまかなっていくように考えます。

信長は銀行、商社、メーカー、重工業、IT企業、新聞社、テレビ局など名だたる企業の社長と交渉します。

今回の国債の引き受け先を日本の優良企業にお願いをしようというわけです。

「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を読んでみて

私が読んでみた感想です。

やはり歴史上の偉人がオールスターで登場するというのはものすごくワクワクしました。読んでいて感動したくらいです。こういうことって、誰もが一度は想像してしまうことではないでしょうか。

歴史上の用語や政治用語も出てきますが、その都度わかりやすく注釈が入っているのでそれほど不便は感じませんでした。

同じように、歴史上の偉人はたくさん登場しますが、それぞれの実際の功績も上手く説明されているので、勉強にもなります。そしてその人物にさらに興味を持ちました。

改めて「歴史っておもしろいな」と感じさせてくれるような説明文です。

そして家康・秀吉・信長の施策は「生きていたら確かにやってるだろうな」というものばかりで、歴史好きなら誰でも一度は考えたことがあるであろう「もし現代に●●がいたら」という設定にはよだれが垂れてきます。

第一部は歴史上の偉人と一緒に日本を生きているというような錯覚にさえなりました。

今の政治家にはこうなってほしい、今の日本を変えたい、というメッセージが込められているのでしょうね。

ひたすら自分の想像力を働かせる第一部です。

第二部はガラッと変わります。

主人公は現代を生きるニュースキャスターの女の子です。

あまり話すとネタバレになってしまうのでアレですが、ミステリー要素が多く、偉人の中にバグが混じっていて、そのバグである裏切り者を探すという内容です。

こちらも犯人捜しのミステリーとして読むことができました。

まずは第一部をたっぷり堪能してください。

読んでほしい人

今の日本の政治に「？」を持っている人には読んでもらいたいです。

日本国民は絶対的なリーダーシップを持ったトップを求めている。多少の反論には動じず、本当に国民のことを想い、自ら信じたことを最後まで貫き通す、そんなトップだったら、もしかしたらこの小説のような日本になっているかもしれません。

そして、今何をすればいいか分からない人、あと一歩が踏み出せない人、誰かに背中を押してほしい人、こういった人も是非！読んでみてください！

やはり歴史上の偉人から学ぶことは多いです。

歴史上の偉人がどういった思考でその時代のトップまで登りつめたのかが分かります。それはきっとあなたの行動力を飛躍させてくれます。