美しい四季と厳しい自然と向き合ってきた日本。日本人だからこそ生まれた趣のある言葉があります。
食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、行楽の秋。
秋は、春の桜や夏の緑にも負けないくらいの色とりどりの景色を見ることができます。
そんな秋を表す言葉を紹介します。
秋を表す言葉
秋乾き
食欲がなかった夏が過ぎれば、飢え乾くように食べ物が美味しく感じられるの秋を意味します。
食べても食べても食欲がなくならない状態を表現しています。
朝霧
朝に立つ霧のことで、秋には細かな水の粒子が白い煙のように立ちこめます。
春のこのような状態は「春霞」と呼びます。
ちなみに、霞は「たなびく」、霧は「立ちこめる」と使います。
秋茄子は嫁に食わすな
憎らしい嫁に美味しい秋茄子を食べさせるのはもったいない、
大事な嫁に体を冷やす秋茄子は食べさせるな、
秋茄子は種が少ないので子種ができなくるかもしれないので嫁に食べさせるな、
といった3種類の解釈ができることわざです。
秋の日は釣瓶(つるべ)落とし
井戸の中に下す縄の先につけた桶が滑り落ちるように、秋の日が急速に暮れてしまう様子を表したことわざです。
なかなか日が暮れない夏に比べると本当に夜が来るのが早くなりますね。
稲雀(いなすずめ)
実った稲に群がる雀のことです。
農家にとっては困りものですが、秋の風情は感じさせてくれますね。
秋深し
秋の深まる頃で、晩秋を意味する言葉です。
者寂しい情景がイメージできますね。
松尾芭蕉の句「秋深き 隣は何を する人ぞ」は有名です。
一葉落ちて天下の秋を知る
落葉の早い青桐の葉が一枚落ちるのを見て秋の訪れを察するように、わずかな前兆からその後に起こることをいち早く察することを意味します。
芋煮会
東北地方の秋の風物詩です。
河川敷などで里芋を大鍋で煮込んで料理します。
鰯雲
魚のウロコのように群がり、広がっている雲のことです。
この雲が出ると、鰯の大漁があると言われています。
鱗雲・鯖雲ともいいます。
菊の節句
9月9日を重陽の節句と定め、不老長寿や繁栄を願う行事を行っていました。菊は古来より薬草としても用いられ、不老長寿の力はあるとされています。
日本では平安時代に貴族の宮中行事として取り入れられ、江戸時代に五節句のひとつとなりました。
菊人形
頭や手足は人形、体がは菊の花で作られています、
物語や芝居の登場人物、歴史上の人物、その年話題の人物や事柄などを題材にした等身大の人形です。
近年は、菊人形展の開催は減少してきていますね。
落ち鮎
秋になると産卵のために川を下る鮎が見られるようになります。これを、落ち鮎・下り鮎と言います。
鮎の瞬は夏といわれますが、子持ちの秋の鮎も美味です。
刈田
稲を刈ったあとの田んぼです。
畔には刈り取った稲が干され、もみ殻の袋が積まれるなど、秋の深まりを感じさせる風景です。
女心と秋の空
秋の空模様は変わりやすいものです。
同じように女性の心もうつろいやすいということわざですね。
案山子(かかし)
鳥などの害獣を追い払うために田んぼや畑に立てる人形です。
「鳥威し(とりおどし)」ともいいます。
小春日和
晩秋から初冬にかけての、暖かく穏やかな晴天をいいます。
このころの気候と陽気が春に似ているため、「小春」と呼びます。
門火(かどび)
盂蘭盆のときに、死者の魂を迎え、送るために、家の門口や寺の門前で焚く火のことです。
「迎え火」「送り火」ともいいます。
秋の季語ですが、8月13日~16日に行うことが多いです。
鎌祝い
稲刈りで使った鎌を清め、床の間などに飾ってお赤飯や餅を供える行事です。
現在は機械が稲刈りをするようになったため、その代わりに慰労会などを行う家が多いようです。
月見
おもに満月を眺めて楽しむことです。
「観月」ともいいます。
8月の十五夜(中秋の名月)と9月の十三夜に行われることが多いです。
十三夜
旧暦の13日目の月です。
もっとも美しいと言われている中秋の名月は旧暦の8月15日の十五夜ですが、9月13日の十三夜も美しく、「後の月」とも呼ばれています。
この日は豆や栗を供えて月見をすることから、豆名月・栗名月ともいいます。
立待月(たちまちづき)
旧暦17日の月です。
十六夜よりさらに月の出が遅くなるので、月の出を立って待つことから名づけられました。
居待月(いまちづき)
旧暦18日の月のことです。
月の出は立待月よりもさらに遅くなることから、立って待つことが疲れると、月を座って待つことから居待月と名づけられました。
寝待月(ねまちづき)
旧暦19日の月です。
居待月よりさらに月の出が遅くなり、月が出るのを寝て待つとう意味からの名づけです。
体を横たえて待つことから、「臥待月(ふしまちづき)」という表現もあります。
秋刀魚(さんま)
文字通り、秋が旬で、カタチが刀を連想させることから、「秋刀魚」と書きます。
江戸時代では季語ではなく、晩秋の季語になったのは現代に入ってからのことです。
食欲の秋
実りの季節で食材も豊富にそろい、夏の疲れや体の不調を取り戻していくのに絶好の季節です。
冬に備えるという意味でも「食欲の秋」といいます。
読書の秋
中国・唐代の歌人・韓愈が読んだ詩に「燈火親しむべし」という一節があります。この詩は「秋は明かりの下で読書をするにはちょうど良い季節」という内容です。
これが「読書の秋」の由来の一つといわれるようになりました。
天高く馬肥ゆる秋
空気が澄んで、空も高く感じられ、馬も肥えるほどに収穫のある秋です。
秋の快適な気候を表す言葉です。
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