自分が思っていることを相手に伝えるには、言葉を発することでしかできないと思っている人は多いと思います。
でも、何も言わないことや、あえて言わないということで、言うことよりも大切なことを伝えることもできるのです。
今回は「言わない」ことで伝わることや伝わってしまうことについてお話しします。
言わないことで伝わること
「ノーコメント」は不利な状態を伝えていることになる
何かを聞かれて
ノーコメントです
という人がいます。
一見、私は何も言いません・何も言えません、ということを伝えているように見えますが、周りの人はどう感じるかを考えてみましょう。
周りから見ると、「ノーコメント」とは「ノーコメント」というコメントをしたことになります。
「ノーコメント」とは、何かを言わなくてはいけないということを認めたうえで、「今は言えない」「今は言いたくない」という気持ちを表しているのです。
これはどういう意味かというと、自分にとって不利な事態を認めていることになります。
法律でも「黙秘権」が認められているのは、自分に不利なことは言わないでいいということになりますね。
結果を聞かれて、良い結果であれば「成功したよ!」と一言で片付くはずですが、それを言うことができない「ノーコメント」とは、その場で失敗を認めたくないということなのです。
「ノーコメント」とは、自分の不利な事態を認めている
悲しみや苦しみへの慰めの言葉はマイナス効果
誰かが大きな苦しみや悲しみの中にいるときは、慰めの目的でその人にいろいろなことを言ってしまうのは逆効果になります。
「私の気持ちをあなたなんかに分かるはずがない!」なんてセリフをよく聞きますが、自分では相手のことを考えて同情しているつもりでも、どうしても自分自身の立場での独りよがりの言葉になってしまいます。
人を慰めようと思うときは、相手の感情はあくまでも自分の憶測でしかない、という点を思い起こすことが大切です。
自分の感情さえも的確に表現することは難しいのに、相手の感情についてその種類や度合いを探ることはもっと難しいのです。
自分の憶測だけでは感情の行き違いが発生してしまうので、どうしてもなにか慰めの言葉をかけたいときは
私には想像のできない悲しみでしょうが、、、
と伝えることが、自分の気持ちを相手に寄り添ったメッセージになります。
何も言わないことが一番の慰めの言葉
マイナスイメージの言葉は自分を低めてしまう
自分の発する言葉には自分に関するすべての情報が含まれています。
なぜなら、自分が考えていないことは言葉にはできなく、自分の現在の心構えについては言葉を聞けば如実に分かってしまうからです。
その逆もそうです。自分の使う言葉を律すれば、自分の振る舞いもコントールすることができるのです。きれいに生きようと思えばきれいな言葉を使います。汚い言葉を使っていれば、徐々に汚いことに慣れてしまい、自分までも汚くなってしまいます。
特に人をののしったり、自分の鬱憤(うっぷん)を晴らすための言葉は、そのまま自分を作り上げる言葉になってしまいます。
他人に対して怒りを表したり愚痴を言ったりすると、そのエネルギーは自分でも抑えられなくなってくることがあります。そういった自分は醜いものです。逆に、周囲に対してユーモアをもって接していくと、周りの人たちも自然と笑顔になります。
怒りや罵る言葉は自分自身の品を落とします。
愚痴や陰口は言わないことで自分を高めることができる
「美談」は人知れず行うからこそ「美談」となる
宣伝というものは自己主張です。自己主張というのは客観性においては疑問を持たざるを得ません。その証拠を見せない限り、人々の共感や理解を得るのは難しいものです。
自慢話をする人は少し鬱陶しく感じますよね。「自慢ではないけど」と言ってから発する話は「これから自慢するよ!」という意味です。
でも、それを本人ではなく第三者から聞くどうでしょうか。証拠がないにもかかわらず途端に信ぴょう性が高まってきます。なぜなら、第三者は本人ほど利害関係が密接ではないのでそれだけ客観性の要素が多くなってくるからです。
口コミなんかはまさにそうですね。
自分で自分のことを良くいっても他人は信用してくれません。気持ちいいのは自分だけです。
人に好かれようと思ったら、自慢は一切しないことです。
善い行いをしたときにも、それを自分から人に伝えたならば価値は半減してしまいます。
真の「美談」とは、人知れず立派な行為をしていたのが後から何かの拍子に分かった、というものです。隠していた奥ゆかしさがその行為をさらに一段高尚なものにするのです。
隠せば隠すほどに人は見たいと思い、それだけ価値が上がってくるものです。自分の長所や人に誇るべきことについては、できるだけ口を閉ざしましょう。それは他人がしっかりと見ていてくれます。
「美談」は自分がつくるものではない
言わない方がいいこともある
自分が発する言葉は自分の思っていることを誰かに伝えることができる非常に便利なものです。
でもだからこそ自分の発する言葉は気を付けないといけません。自分の発する言葉によって自分を高めることも低めることも自分次第なのですから。
今回は「言わない」ことで伝わることを解説してきました。
- 「ノーコメント」は不利な状態であることを伝える
- 悲しみ・苦しみへの慰めの言葉はいらない
- マイナスイメージの言葉は自分を低める
- 「美談」は人知れず行うから「美談」となる
これを見ると、「言わない方がいいこともある」と考えることができますね。
人間が他の動物と異なることは言葉を使うことです。
その言葉も使い方次第ですね。
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